「31歳ガン漂流」
本棚にあって読んでなかったのを読んでみた。
- 作者: 奥山貴宏
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2003/11
- メディア: 単行本
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上記ページを見ても分かるように奥山貴宏氏は2005年に亡くなられている。しかし本書は2003年の段階までしか載っていない。その段階で出版されており、後日、日記のつづきが出版されている。それも本棚にあるので、続けて読む予定。
闘病日記ではなく
この日記のスタンスは闘病日記ではない、と気づくのにそれほど時間はかからなかった。
彼の日記の中にたまたま闘病生活が絡んでいて、たまたま生活の場が病院になっている、ということは、悲惨な表現や葛藤が書かれていないことからも分かる。
それを明らかに書いている2003年1月28日の文章を引用してみる。
怒り、絶望、恐怖、悲しみ、そういう要素は全部オレ一人だけで楽しむためにとっておく。勿体なくて、誰とも分かち合いたくない。読者には悪いけど、全部オレ一人だけの領域。
http://www2.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=109599&log=20030128
ライターという職業故の言葉かもしれない。
とても重い。
有限の命
割と楽観的に考えているように言葉を選んでいるようだが、それも完璧にそんなことが出来るわけもなく、ある日の日記からその様子が垣間見られる。
自分の命の残りを宣告されているのだから当たり前かもしれないが。しかし、この分を読むとつらくなる。
2003年2月15日の一文である。
とりあえず、年金を払うのをやめよう。
http://www2.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=109599&log=20030215
まだまだ弱い自分のような人間には、そのことに気づいたときのショックを想像することすら恐怖だ。