「いつか王子駅で」
先週本屋で文庫本のきれいな表紙と、タイトルのユルさに惹かれて購入していた堀江敏幸氏の「いつか王子駅で」という本を読みおえた。
- 作者: 堀江敏幸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/08/29
- メディア: 文庫
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このblogを見ると分かるように、自分が好んで読むのはミステリー作品で、しかも理系的であればなお喜ぶ、という方向性なので、自分からこういう文学作品を手にすることは珍しい。
しかしこの最初の文でこの本のスピード感がつかめたので、あとは堀江氏の書く文字に身を任せて、最後まで楽しく読むことが出来た。
本作品、とにかく形容表現が美しい。
たとえば、『つまり「僕」が不器用に見えながらそのじつ複雑な感情の張力をあやつって「独り」の状況をつくりだしていく手際に惹かれるのとおなじく、』という文章。
感情の張力、という言葉にぐっと来る人は読んだ方がいい。
内容は、食べ物の表現がよく、読了後にカステラを食べたくなる本でした。
さまざまな文学作品が登場するのも本作品の特徴となり、主人公「私」の特徴となっている。
これらに目を通した後本作を読むと、堀江氏の描く空気をさらに感じることが出来るかもしれない。
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