「ライカとモノクロの日々」

古本屋で平積み(と言っても1冊だけ)になっていた本が気になって購入したのが「ライカとモノクロの日々」という文庫本。
月刊「カメラマン」に連載していたコラムに加筆したり、書き下ろし、撮り下ろしを加えたもので、写真もふんだんに添えられている。

ライカとモノクロの日々 エイ文庫

ライカとモノクロの日々 エイ文庫

内田ユキオに限らず、写真家とかよく知らないのですが、さらっと立ち読みしただけで、一つ一つのコラムの完成度が高くて、結構読み応えがあると思い、購入しました。
こんなにまじめに写真に向かい合っている人がいるんだと、それをじっくり知りたかった。
最近自分もデジタル一眼レフというものを購入し、自分なりに楽しんでいるけど、こういうアマチュアの趣味をやっていることが申し訳なく思えてくる。
でも自分は暗室とかやらないばかりか、そもそも銀鉛写真じゃないし、ライトな趣味だから許してくださいませ。
本作の中で中ほどにある「21世紀の暗室作業者」という話がとても面白かった。
内田氏の知り合いがカメラをはじめたくて、その暗室作業とかのための道具を一緒に選定、購入し、やりかたを教えるまでの流れを書いたもの。その中で注目されているのは教えてもらう彼の考え方。
今から現像のやり方を教えてもらおうとしている彼は言う、「失敗しても惜しくないものなんて、写真に撮りたくないよ。」と。
なるほど。
その心構えって、ものづくりをする上で、きっと大事なことだ。
挿入されている写真が、どれも見ていていろんな感情がわきあがってくる写真ばかり。
とてもいい気分になれる本です。
僕も、読み終えたあと、思わずカメラを持って、外に出てしまいました。