「博士の愛した数式」

博士の愛した数式」を手にしてみて、今なら読めると思い購入後、一気に読み終えた。

博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)

今年正月に映画が公開されて、予告編とかは見たりしたけど、本編は見ていないし、博士を寺尾聰がやる、ということしか知らなかった。
博士の愛した数式 | アスミック・エース
今見たら、映画で主人公を演じたのは深津絵里だったんですね。知りませんでした。
深津絵里の芝居は好きだけど、本を読んだ後では、「ちょっと違うかも」という印象が拭えない。まぁ、それはそのうち映画版も見て確認してみようかな。もうDVDも出てるみたいだし。
博士の愛した数式 [DVD]

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さて、この小説にはタイトルの通り数式がいくつか出てくる。
理系大学出身の自分としてはもちろんどれも目にしたことがあったりしたけど、この数字が素数友愛数、とか具体的な数字については知識が無い。数字そのものを単体で記憶するのは自分は苦手なので。
本作は、そんな素数とかきれいにちりばめられている文学で、とても楽しく読めた。
心情描写がきれいな作品にありがちな、退屈な導入、ではなく、するするっと入っていける不思議なさらさら感のある文体がとても心地いい。
最も重要な数式として、オイラーの公式が出てくる。
オイラーの公式e^{\pi i} + 1 = 0
e\pii、そして1と0という数学の大事な要素が一つずつ出てきて組み合わされるとして、世の中の多くの人を魅了している数式だ。
でも、正直この数式はこの小説には似つかわしくない、と思う。
数式と呼べる数式はこれしか出てこないので、これが出てこなかったらタイトルに合わないのは分かるんだけど、もっとシンプルな数字の話だけで展開して欲しかった。
うーんでもなぁ、やっぱり博士を博士たらしめるものとして、必要だったのかなぁ。博士はこの数式について一言も話をしていないし、それでいいのかもしれない。
悩む。
文庫本の巻末には藤原正彦氏が解説を書いている。
彼自身数学者であり、有名な数学者についての研究、さらに最近では「国家の品格」とか書いたりしている。
本書の著者である小川洋子は執筆時に彼に取材しているようです。
なるほどねぇ、つながっています。
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