「覆面作家の愛の歌」

北村薫続きで「覆面作家の愛の歌」を読み終えた。

覆面作家の愛の歌 (角川文庫)

覆面作家の愛の歌 (角川文庫)

覆面作家シリーズ」の2冊目。
覆面作家のお茶の会」「覆面作家と溶ける男」「覆面作家の愛の歌」の3短編が入った文庫本。
各話とも、高野文子による挿絵、というか、1枚イラスト(装画)が冒頭に1ページあって、これが結構いい感じ。
ストーリーのいろんな場面をうまく切り取り、マンガの1ページ的にまとめたものなんだけど、読む前にはなんとなく雰囲気を伝えてくれて、読んだあとに見ると、各シーンがよみがえってくるきっかけとなってくれる。なかなか面白い仕組み。
覆面作家のお茶の会」。
前作を読んでから結構経っていたので、設定とか忘れかけていたのだけど、そこは丁寧に説明されていたりして、じわりじわりと思い出した。静美奈子という新キャラも登場したりし、それがいい感じ。
お菓子と書籍の話で進む話は、きれい。
覆面作家と溶ける男」。
小学生の心理描写、行動描写がいい感じ。
覆面作家の愛の歌」。
この作品がこの文庫本の半分の量。つまり、他の作品の2倍の量。
でも、内容と密度は同じぐらいかな。
トリックがちょっと複雑すぎる気もする。
そこまでやりすぎない北村氏の作品の方が好きかも。
この文庫本を読んで驚いたのは「あとがき」。
かなり北村氏自身の背景が重なっていることが分かる。
もう1冊あるらしい「覆面作家シリーズ」、きっと買うことでしょう。