「心は孤独な数学者]

心は孤独な数学者 (新潮文庫)

心は孤独な数学者 (新潮文庫)

ニュートン、ハミルトン、ラマヌジャン、という数学史における3人の重要人物の人物史。
ただ功績を挙げることはなく、というよりも、むしろ数学的な功績については記述がほとんど無く、これらの3人がどのような人生を送ったのか、を著者が彼らの生地に赴き調べたドキュメント作品。
図らずも、イギリス本国、アイルランド、インド、という3つの視点からイギリス史を見ることも出来、それについて詳しくない自分にはいくつもの楽しさがあった。
つまり、この本を読めば、数学史、イギリス史、3人の人物史が見え、それらの地の現在が見える。
文量的には、3:2:5と、ラマヌジャンの話が多めに取られているのだが、やはりそこはそれだけの面白さがある。
しかしそれは、数学者でもある著者の圧倒的な知識(その知識は数学だけではなくさまざまな分野においても詳しい)に裏づけされているからこそ、このような面白さが引き出されるのだろうと思う。