「ドキュメントハックス―書かない技術」

仕事で移動時間が多く、そのときたまたま手元に本がなかったので、千葉のヨドバシで適当に手にして読んだ新書です。
この本はマイコミ新書といって、毎日コミュニケーションズの新書!とうとう毎日コミュニケーションズも新書を出しているんですね!新書ブーム恐るべし。
ちなみに、googleで検索してトップあたりに出てくる建築家の同姓同名の石黒由紀さんと著者は別人のようです。

この本の表紙をめくったカバー部分に次のようにかかれています。

本書は、いわゆる「文章術」の本ではありません。

読んでみて分かったのですが、全くこの言葉のとおりで、本書は「ドキュメントを作成する仕事を、いかにしてうまくこなすか」ということに重点が置かれている。がしかし、一部ではやはり「分かりやすい文章」というところにも触れているので、全くのテクニックだけ、ということでもなく、文章をまとめる作業全般においての石黒氏の仕事術が紹介されている、ということになる。
自分はプログラマーなのですが、実は本書に書いてある内容は、ソフトウェア開発の仕事とほとんど同じ内容だなー、と思ってたら、「ソフト開発におけるVモデル」を参考にして「ドキュメント制作におけるVモデル」が載っていたりして、ソフトウェア開発のテクニックを基本にしているみたいです。このことから、ソフトウェア開発を仕事にしている人にはとても読みやすく、また、自分の知っている仕事術が様々なターゲットにも応用できることがすぐに分かると思います。
自分自身、長大なドキュメントを書くことはほとんど無いのですが、この本を読むと、この本の手法をもう一度ソフトウェア開発に戻すと、何かドキュメント作成のテクニックをソフトウェア開発のテクニックに応用できそうです。
たとえば、103ページの「「ちなみに情報」を切り分ける」という章の書き出しを例に考えて見ます。

「ちなみに情報」を切り分ける
企画・設計時に悩ましいのが、読み手の「集合」のメリットを優先しつつ、「個々」の要望にどこまで対応するかということです。情報の絞込みと、構成がなかなか決まらない原因は、ここにあります。

ソフトウェア開発で考えると、クラスの設計時にも同じような悩みを抱えていると思うのです。また、ソフトウェア自身のマーケティング戦略にも同じように当てはまります。
これを「ちなみに情報」を切り分けて考えてみると、クラスの場合は「ちなみに情報」は別クラスやメソッドを作成することになり、マーケティング戦略で考えると「ちなみに情報」的なマーケティングは別の場所、言葉でマーケティングすることになるかもしれません。確かに何か有効そうな気がしてきます。
NHKで放送中の「プロフェッショナル」を見ていると、ある分野の仕事術の本質は別の分野の仕事にも応用できることが多いと思うのですが、そういうことを考えながら読むと、自分自身の仕事の問題点にもいろいろな解決策が思い浮かぶかもしれません。