「放課後」

東野圭吾のデビュー作で、第三十一回江戸川乱歩賞受賞作である「放課後」を読み終えました。

放課後 (講談社文庫)

放課後 (講談社文庫)

舞台は女子高。
主人公である前島は、一度企業に就職した後、家庭の事情で教師になる。
そこで様々な思惑や、殺人事件にまきこまれていく男性教諭の視点で描かれた推理小説
前島はアーチェリー部の顧問でもあり、この一般的にはルールすら知られていないスポーツを丁寧に描き、そこから生徒と教師の信頼関係まで表現するところは、さすが東野圭吾と思わせる。
全体的に推理小説にしては何かが足りない、と思わせておいて、最後に一気に内側から次々と物事や感情が出てきて、それを糊にして全てがつながるところがすばらしい。
一見無駄だらけのように見え、その実、無駄がない。
当時は、この辺りが評価されたんだろうな。と思う。


密室トリックはまぁあまり納得いかないけど、そういうところはこの小説の肝ではないね。それよりも動機とかそういう気持ちのつながり方の描写がいい。


最後の最後のオチというか、あれは途中で気づいたけど。


しかし、なかなか楽しめました。