「放課後」
東野圭吾のデビュー作で、第三十一回江戸川乱歩賞受賞作である「放課後」を読み終えました。
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1988/07/07
- メディア: 文庫
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主人公である前島は、一度企業に就職した後、家庭の事情で教師になる。
そこで様々な思惑や、殺人事件にまきこまれていく男性教諭の視点で描かれた推理小説。
前島はアーチェリー部の顧問でもあり、この一般的にはルールすら知られていないスポーツを丁寧に描き、そこから生徒と教師の信頼関係まで表現するところは、さすが東野圭吾と思わせる。
全体的に推理小説にしては何かが足りない、と思わせておいて、最後に一気に内側から次々と物事や感情が出てきて、それを糊にして全てがつながるところがすばらしい。
一見無駄だらけのように見え、その実、無駄がない。
当時は、この辺りが評価されたんだろうな。と思う。
密室トリックはまぁあまり納得いかないけど、そういうところはこの小説の肝ではないね。それよりも動機とかそういう気持ちのつながり方の描写がいい。
最後の最後のオチというか、あれは途中で気づいたけど。
しかし、なかなか楽しめました。